フィギュアスケートを楽しく観たいから

スポーツナビ+から引っ越してきました。

スポーツナビブログから引っ越してきました。早速、マスコミの報道に一言申します。

 

お題「ブログをはじめたきっかけ」

フィギュアスケートを楽しく観たい!

という一心で2013年12月に始めたこのブログ。

最近では、本当に書きたいことしかアップできなかったのですが、スポーツナビ+さん

が、閉鎖するとのことで、一応こちらに引っ越してきました。

 

フィギュアスケートを愛して20年以上たつ一ファンのノクターンと申します。

伊藤みどりさんのトリプルアクセルに魅せられフィギュアスケートにハマりました。

 

このブログを始めた経緯を少しお話します。

さかのぼること8年前、2010年のバンクーバーオリンピックのシーズン。

浅田真央選手とキム・ヨナ選手のライバル争いを、TVの視聴率アップにつなげようと、

いたずらに煽って連日報道する、日本のマスコミの偏向報道にほとほと嫌気がさしていました。

きちんと取材した事実を報道するのではなく、ドラマティックに盛り上げようとするばかりに、二人の選手のライバル性ばかりを取り上げ、ほかには有望選手がいないかのような報道姿勢に対してものすごい違和感を感じていました。

 

確かに、当時は浅田選手とヨナ選手の二名はトップ選手ですが、ライバルとなる選手は日本人を含め各国にも、たくさんいました。

にもかかわらず、他の選手は全く無視で、二人のことだけを連日報道していたのです。

極端に一人の選手の身にフォーカスを当てた報道をすると、フォーカスを当てられた選手に、いらぬプレッシャーがかかるという負担がのしかかっていきます。

 

もちろん、取材をしてもらってTVなどで取り上げてもらうことは、競技にや選手にとって知名度を上げるうえでありがたいことです。

ただし、スポーツ選手は、特にアマチュア選手は、商品ではありません。

一人の競技者です。

選手の競技内容にも響いてしまうような、積極的すぎる報道は、結果的に選手の負担にしかならないと思います。

選手を商品か女優のように扱い、視聴率に貢献させようとするやり方に、当時は多くのフィギュアスケートファンも惑わされていました。

私も、気にしないようにしていても、あまりにも連日報道されてしまうと、

どうしても浅田選手とヨナ選手の二人だけが特別な存在のような感覚になってしまい、冷静にフィギュアスケートを鑑賞することができなくなっていました。

結果として、フィギュアスケートを楽しく観れなくなってしまったのです。

 

そんなわけで、2014年のソチオリンピックでは、すこしでもマスコミに惑わされるファンが少なくなるように、冷静な目で見た情報を発信していきたいなと思いこのブログを立ち上げたわけです。

 

バンクーバーから8年たち、2018年平昌オリンピックを迎えていますが、

未だに、マスコミの体制は変わらないようです。

 

男子シングル羽生結弦選手だけを取り上げて連日報道しています。

 

けがをしてしまい、どこまで復調しているかが気になるのは確かに気になりますが、

今回、金メダル候補は羽生選手だけではありません。

他の選手も、取材してもらってどんな状態なのかフィギュアファンであればぜひ、知りたいところです。

またもや一極集中のフォーカスの仕方では、羽生選手にいらぬプレッシャーを与えてしまうことにもなります。

羽生選手は、そんなことは気にしないだろうと思っても、マナーとして競技前には、

いらぬプレッシャーを与える報道を控えるべきなのでは?とも思っています。

さらには、オリンピックなのですから、もっと平等に有力選手を取り上げて、報道してもらいたいです。

連日の、羽生選手ばかりのフィギュアスケート報道に、またもや戸惑いを感じています。本当に、民法のTV局には、スポーツを取材する記者がいるのでしょうか?

きちんと取材していれば、羽生選手だけではなく、宇野昌磨選手も、ネイサン・チェン選手も、ハビエル・フェルナンデス選手も、ボーヤン・ジン選手も調子を確かめたくなるはずです。

 

人気というのは、スポーツにとっても大事な項目なので、マスコミとの関係性は

難しいとは思うのですが、さすがにバンクーバーの頃のひどさではないにしても、

もう少しきちんと報道してもらいたいものです。

 

もっと選手を大事にしてください。

この一言につきます。

長洲未来選手 本気のトリプルアクセルを見逃してはならない!

【女子のトリプルアクセルへの挑戦はGOEの満点加点よりも価値があるのではないか?】

フィギュアスケートの2017-2018シーズン。

長洲未来選手は、本気である。

身体も絞り、精悍な顔出ちで、いつも笑顔だった未来ちゃんとは一味違う。

なによりも、フィギュアスケートに本気で向き合っている。

ショートとフリー両方のプログラムのにトリプルアクセルを組み込んでいるのだ。

浅田真央さんの現役引退により、しばらくはトリプルアクセルを試合で見られないと

寂しく思っていたファンにとっては、うれしい驚きだった。

現世界女王ロシアのエフゲニア・メドベデワ選手は、ほとんどすべてのジャンプを手を挙げて飛び

GOEの加点を稼ぐ。そして失敗のない演技でいつも高得点を算出している。

現在の女子シングルの世界では、失敗を極力防ぎ、GOEでどれだけ加点を稼ぐかという戦いになっている。

メドベデワ選手の成し遂げていることは、決して簡単ではない。

失敗しないということも、加点を稼ぐということも非常に難しいことではあると思う。

さらに、彼女の全身での音の取り方や、曲の表現力はもはや一流の芸術の域に達している。

それゆえ、彼女が世界女王であることには何の異議もない。

素晴らしい選手であるこは間違いない。

それでも、何か物足りない。

女子シングルに何が足りないのか?

それは、目に見える挑戦とワクワク感ではないだろうか?

そう、ズバリ言うとトリプルアクセルが足りないのだ。

【女子にとってトリプルアクセルは挑戦であり、伝家の宝刀ではない】

「伝家の宝刀」という言葉は、浅田真央さんが試合でトリプルアクセルを飛ぶたびに言われてきた言葉だ。

しかし、女子選手にとってトリプルアクセルをクリーンに飛び、GOEを稼ぐということは非常に難しい。

トリプルアクセルの基礎点は、8・50点。

男子のトップ選手であれば、トリプルアクセルをクリーンに飛ぶとGOEを含め12点ほどになる。

GOEを満点レベルで稼げれば間違いなく伝家の宝刀(切り札)と言えるが、

女子選手にとっては、試合で着氷することすら難しいジャンプなのである。

満点レベルでGOEをプラスすることは不可能に近い。

それゆえ、女子選手にとってトリプルアクセルは「伝家の宝刀=切り札」ではないのだ。

「女子にトリプルアクセルはいらない」という人もいる。

それは、単純に点数としてあてにならないからである。

試合に組み込めるレベルで飛べたとしても、GOEは付きづらいジャンプだからだ。

トリプルルッツやフリップでGOEを稼いだ方がお得である。

けれども、トリプルアクセルにはパワーがある。

思い出してほしい、浅田真央選手がトリプルアクセルに入る軌道から一点をにらみ、

トリプルアクセルを飛ぶあの瞬間を。

あれほどワクワクドキドキする瞬間が他にあるだろうか?

例え着氷に失敗し、転倒したとしてもあのワクワク感は消えることがない。

フィギュアスケートを観戦している観客への贈り物のような瞬間なのだ。

人は、完璧な演技にも感動できるが、挑戦にも感動する。

ということは、成功失敗に関わらず、挑戦することには、意義があるのだ。

あの、ワクワクドキドキ感を作り出せるのは、挑戦しているアスリートだけなのだから。

長洲未来選手は、約30秒かけてトリプルアクセルへの軌道を作っている。

ショート、フリーとも冒頭にその瞬間はやってくる。

NHK杯であれば、すべての選手の演技を放送してくれるので(BSを含め)

順位はどうあれ必ず放送されることになる。

長洲選手のトリプルアクセルへの挑戦を見逃すなんてもったいない!

あのワクワク感は、現役女子選手の中で彼女にしか出せない宝物のような瞬間なのだから。

NHK杯女子フリー放送予定

2017年 午後4時30分 NHK総合

浅田真央選手現役引退を発表。試練を乗り越え続けた努力の天才!

2017年4月10日、浅田真央選手が、現役引退を発表した

ソチオリンピック以降、いつかこの日がやってくると、覚悟はしていた。

特に、競技復帰してからは、浅田真央選手には、自分のためにスケートを続けて

もらいたかった。

それゆえ、引退するときも、彼女が辞めたいと思ったときに、辞められる状況であってほしいと願っていた。

このタイミングで、現役引退を発表できたということは、本人の意思が通ったということだと思う。

昨年の12月、全日本選手権で12位という結果に終わり、引退の時が近いのかもしれないと考えた。

12位という順位よりも、ジュニアの選手たちに追い抜かれていく状況を、どのように頭の中で整理していくのだろうと気になっていた。

一方で、あと1シーズンは、現役を続け、平昌をめざすというキビシイ道のりを選択するのかなとも期待を込めて思っていた。

そして、膝のケガさせよくなれば、全日本で優勝し、平昌オリンピック代表に選ばれることもありうると考えもした。

浅田真央選手なら、ありうることだ」と、最後まで人々に希望と夢を感じさせる選手であったことは、間違いない。

浅田真央選手が、シニアデビューした2006年、浅田選手には、神様が与えた勢いのようなものがあった。

他を圧倒する存在感が、風のようになって他の選手を押しのけていくようにも感じた。

グランプリシリーズで、浅田選手と同じ大会に出場した荒川静香さんが、「なんで真央ちゃんと2回も同じ大会なの?」

と、スケート連盟の人に訴えていたが、世界中のトップスケーターが、荒川さんと同じように、脅威を感じていたことは間違いない。

私が、大好きだったスケーター、当時の世界女王イリーナ・スルツカヤ(ロシア)に、

「Hi! I’MAO. I like your skate!」

と、無邪気に話しかけている姿に、「この子スゴイ大物だな」と驚いたものだ。

話しかけられているイリーナのほうは、顔が引きつっていたからだ。

「こんな子どもに負けたくない」と、言わんばかりだった。

このシーズンのトリノオリンピックには、浅田選手は、年齢制限に87日足りないため、出場できなかった。

タラレバにはなるが、出場できていたら、優勝していたと思う。

それほど、圧倒的な勢いが、このシーズンの浅田真央選手にはあったのだ。

これが、試練の多かった彼女の現役生活で、最初の試練ということになる。

浅田真央選手の現役生活を振り返ると、本当に試練の連続だったように思う。

専属コーチがいない状況が長く続き、一人で練習を続けなければならなかったこと。

お母さまの病気

バンクーバーオリンピック時の、報道の過熱ぶり。異常なほどの人々の期待。

一人で練習をし続けたゆえの、ジャンプの修正。

お母さまの死。

最後に間に合わなかったこと。どんなにツラかったでしょうか。

そして、その二週間後に全日本選手権に出場し、人前で涙を見せなかったこと。

肉親を亡くしたことのある方はわかると思うが、これは本当にツラいことだったと思う。

ソチのショートプログラムの失敗。

一人の若いアスリートが抱えるには、あまりにも重い試練だったのではないかと感じる。

それでも、フィギュアスケート人生の中で、何度も素晴らしい瞬間があったことは間違いない。

バンクーバーオリンピックでは銀メダルを獲得。

世界選手権では、3度も優勝している。

グランプリシリーズでは、ファイナルで4度優勝。シリーズ全7大会で優勝するという偉業も成し遂げている。

浅田真央選手のフィギュアスケート人生を振り返り、特に素晴らしいと思った瞬間を3つ挙げたいと思う。

一つ目は、20072008年のシーズンの世界選手権のフリー「幻想即興曲」の演技

このシーズン、浅田選手は、アメリカから日本に拠点を戻し、ラファエル・アルトゥニアンコーチとの契約を解消している。

のちに、アルトゥニアンコーチ自身が、語っているが、浅田選手のお母さまの体調が悪くなり、治療しなければならないため、アメリカの拠点から日本に帰らざる負えなかった、というのが真実のようだ。

当時は、アルトゥニアンコーチも、本当の事情を知らず、「面倒みきれない」と決別する形となってしまったことを、現在では悔やんでいる。

そんな、コーチ不在という状況下で挑んだ世界選手権。

SP2位につけ挑んだフリープログラム。

冒頭のトリプルアクセルのジャンプを飛ぼうとした瞬間、派手に転倒してしまった。

演技を中断してもおかしくないほどの、激しい転倒だった。

ジャッジの一人が、驚いて立ち上がったほどだ。

見ている私も驚いて、思わず「あっ!」と声を上げてしまった。

ところが、浅田選手は、何事もなかったように立ち上がり、その後の演技をほとんどミスなく完璧に滑りこなしてしまった

結果的にフリーの得点でカロリーナ・コストナー(イタリア)を逆転し、優勝した。

「なんという心の強さだろう!」と、感心して驚いてしまった。

実は、浅田選手のファンになったのは、このフリーの演技を見てからなのだ。

心が動かされる演技だった。

二つ目は、2008-2009年のシーズンのフリープログラム「仮面舞踏会」

このシーズンのすべての仮面舞踏会の演技にワクワクした。

ジャッジの目の前で飛ぶ、トリプルアクセルの迫力に驚いた。

さらに、終盤のステップは、フィギュアスケートに芸術性を追求するタチアナ・タラソワの執念がつまった秀逸の出来である。

そして、女子には厳しすぎるほどの難しさだ。

「仮面舞踏会」は、フィギュアスケートの理想である、技術と芸術の融合を象徴するプログラムになっている。

タチアナ・タラソワは、名匠と呼ばれる自身のフィギュアスケート人生の集大成として、浅田真央選手のプログラムを振りつけていると思う。

10代だった浅田選手には、重い試練ではあるが、タラソワほどの巨匠に見込まれた逸材ということなのだ。

その後の、プログラム「ラフマニノフ前奏曲 鐘」、「チャイコフスキー白鳥の湖」「ラフマニノフピアノ協奏曲第二番」を見ても、自国ロシアの巨匠の作品を、日本人である浅田真央選手に託したことになる。

自国愛の強いロシア人にとっては、異例のことだ。

自国の巨匠の作品を、他国のプリマに託したのだから。

ローリー・ニコルの軽やかで明るい振り付けのほうが浅田選手に合っているという人も多い。私も、「愛の夢」や「蝶々夫人」は大好きなプログラムである。

それでも、タラソワの思いのこもった難しいプログラムを、必死にこなす浅田選手の姿に心を打たれた。

フィギュアスケートに、ここまで必死に打ち込めるということの凄さを感じると同時に、うらやましくさえ思えた。

必死に打ち込むことができる何かがあるということは、うらやましいことだ。

そう感じた人は、私だけではないと思う。

三つ目は、やはりこれ!ソチオリンピックのフリー「ピアノ協奏曲第二番」

タラソワが、自国開催のオリンピックにもかかわらず、浅田真央選手に振り付けたプログラム。

「もう振り付けはしない」と言っているようなので、おそらく名匠タチアナ・タラソワ最後のプログラムになるだろう。

ソチオリンピックショートプログラムは、ジャンプの失敗により16位という結果。

「フリーに向けてどうしますか?」という記者の質問に、「なにもわからないです」

と、放心状態になっていて、見ている私たちも同じく放心状態。

このシーズンは、グランプリファイナルで優勝し、調子が良く、金メダル候補だっただけに、ショートの失敗は、本当に痛手だった。

何しろ本人が一番つらいに決まっている。

プレッシャー、失望、自信喪失、私たちには経験したことのないほどの、負の感情が渦巻いていたと思う。

もし、自分だったらと思うと、想像するだけで心が折れる

体調が悪いと言って、フリーを棄権してもおかしくない状況だ。

そういった状況を考えてしまい、浅田選手がフリーの演技にコールされただけで、涙があふれてきた。

今、ここに立つことがどんなにツラいだろうかと想像した。

彼女が今まで受けてきた人々の期待とプレッシャーの重みと苦しみを、少し理解できるような気がした。

そして、勝手な期待を背負わせてしまったことを申し訳なく思った。

16位という順位はまだしも、ショートプログラムの点数が低すぎて、パーフェクトに演技したとしても、メダルに届かないことは明白だった。

金メダルを目指してきた浅田選手にとって、メダルにすら手が届かないのに、演技をしなければいけない。

そんな状況下で、あの完璧なフリープログラムを演じたという奇跡。

浅田真央選手は、私たちに、奇跡を見せてくれたと思っている。

あの状況で、素晴らしい演技ができたということは、日々本当に、真摯に努力してきたということなのだ。

困難な状況下でも、自分の出来る最大限のことをやりつくす、というアスリートとしての真の姿を私たちに見せてくれた。

ソチのフリーが終わり、涙が込み上げた姿、彼女が経験してきたその苦しみを忘れない。

そして、涙を必死に飲み込み、笑顔で観客に挨拶した、彼女の心の強さを忘れない。

真のアスリートであり、真の芸術家であり、真のフィギュアスケーターであった浅田真央選手。

2005年にシニアデビューしてから、11年。

本当に長い年月のあいだ、私たちに夢と希望を与えてくださり、ありがとうございました。

浅田真央選手に出会えて、幸せな11年を過ごすことができました

心の底から感謝の気持ちを伝えたいと思います。

第二の人生、GO MAO!

ロシアフィギュアスケート選手権2017女子 エフゲニア・メドベデワの圧勝!しかし、ライバル候補現る

2016年12月20日から25日まで行われたロシアフギュアスケート選手権。

全日本とほぼ同日程だったため、ロシア選手権は、オンデマンドで全日本と二元中継的に観ることになってしまい、正直疲れました。

ただ、見ておいて良かったと思える見ごたえのある試合でした。

特に女子の強さは圧巻で、今後、世界大会で、ロシアに表彰台を独占されてしまうのではないかという危機感を明確に感じました。

今大会では、ユリア・リプニツカヤ選手とジュニアで活躍しているポリーナ・ツルスカヤ選手がケガのため欠場しています。

そして、ソチの金メダリストであるアデリナ・ソトニコワ選手も出場していません。

この三人が、もし出場していれば、間違いなく上位に入ってくる選手ですが、有望選手が欠場していても、まったく見劣りしないほど、

選手の層が厚く、さらにジュニアから有望選手が何人も現れるという状況です。

ロシアの選手は、ここ数年、ジュニアからシニアに上がってきた選手が、シニアでもグランプリシリーズの表彰台に上がり活躍しています。

しかも、2大会連続で表彰台に上がり、グランプリファイナルに出場しているのです。

シニアデビューの年に、グランプリファイナルに出場した選手

2013-2014 エレーナ・ラジオノワ アンナ・ポゴリラヤ

2014-2015 本郷理華(補欠1位の繰り上げ出場)

2015-2016 エフゲニア・メドベデワ

2016-2017 マリア・ソツコワ

今シーズンでは、マリア・ソツコワ選手がグランプリファイナルに出場し、5位となっていますが、今後も、彼女レベルもしくは、彼女以上の成績を上げれる選手が毎年コンスタントにシニアに上がってくる状況です。

日本選手も、シニアデビューの樋口新葉選手と三原舞依選手が、グランプリシリーズで活躍しましたが、両選手とも、二大会の成績が3位、4位という結果で、

ファイナルにはあと一歩及びませんでした。

グランプリシリーズだけが、実力の指針ではありませんが、世界選手権の表彰台、そしてオリンピックの表彰台を狙うことを考えれば、

コンスタントに表彰台に上り続けることの重要性が、今まで以上に高まってくると思います。

それほど、選手の実力はひっ迫しており、メドベデワ選手は頭一つ突出していますが、2位以下の争いは、それこそ1点差に満たないという

状況になってくると予想されます。

日本のエース宮原知子選手は、今シーズンのグランプリファイナルでも、メドベデワ選手にせまり、銀メダルを獲得していますし、

世界選手権でも表彰台を狙える頼もしい存在となってくれました。

しかし、宮原選手以外の日本選手を、もっと強化しなければなりません。

今シーズンの世界選手権は、平昌オリンピックの出場枠がかかる大会でもあります。

出場する上位2選手の順位が足して13以内に入らないと、オリンピックの出場枠が3枠取れないのです。

日本選手強化のためにも、ロシアのフィギュアスケートについてもっと勉強していかなければならない。

そして、学ぶべきことは学び、もっと何かできることはないのか模索していかないといけない。

と感じました。

私自身、少しロシアについて調べて、記事にしたいと思っています。

さて、まずは、女子シングルの結果ですが、予想通り、エフゲニア・メドベデワ選手が、233.57(技術点75.56構成点77.93)という得点を出し、圧勝の2連覇となりました。

当分彼女の圧勝時代は続くと予想されます。

完璧中の完璧な演技、失敗しない強さがGOE加点をさらに呼び込むという強さ。プラスのオーラに包まれています。

今回のフリーでは、驚くべきジャンプを披露しました。

後半の3S+3Tの二連続三回転ジャンプにさらに3Tをつけ、三回転三回転三回転(3S+3T+3T)を飛んでのけたのです。

結果的に、最後の3Tが回転不足になりましたが、こんなとんでもないジャンプをやってのける根性というか心の強さが、

メドベデワ選手の強さの秘密なのではないでしょうか。

ところが、この最強メドベデワ選手の技術点を超える得点を挙げた選手が、現れたのです。

その選手が2位となったアリーナ・ザギトワ選手(14歳)です。

フリーの得点は、146.95(技術点77.30構成点69.65)と技術点でメドベデワ選手を1.74ポイント上回っています。

まだ、ジュニアの選手なので演技構成点が低いのは仕方がないということで、彼女がシニアに上がってきて、今と同じような

ジャンプを飛べたとすれば、メドベデワ選手を超えられる選手ということになります!

なぜ、ここまで技術点が高いかというと、ザギトワ選手の演技構成では、フリーなのにすべてのジャンプを後半で飛んでいるのです。

シニアにあがってからもこんなすごい構成でジャンプを飛んでこれるとしたら、恐ろしい話です。

フリーの曲は、バレエ音楽ドン・キホーテ」を使用していますが、ロシアバレエを見ているのかと錯覚するほど素晴らしく芸術的です。

メドベデワ選手と同門のエテリ・トゥトベリーゼコーチのもとで練習しており、今後どうなってくるのか目を離せない選手ですね。

個人的には、同じく同門で、今回欠場したポリーナ・ツルスカヤ選手が気になるのですが、ケガの状況が心配です。

とにかく、アリーナ・ザギトワという名前は憶えておいたほうが良いでしょう。

※記事末尾の関連情報にプロトコルのサイトを乗せておきますので、気になる方はご覧ください。

3位は、マリア・ソツコワ選手(16歳)。219.90(技術点71.40構成点74.11)

身長170センチ、というすらっとしたスタイルの金髪美女で、少し前に活躍していたクセニア・マカロワ選手になんとなく雰囲気が似ています。

女性らしいエレガントな優しい雰囲気を持った選手です。

ジュニア時代から活躍していましたが、シニアデビューシーズンでグランプリファイナルに出場し、ロシア選手権でも3位に入りました。

4位は、アンナ・ポゴリラヤ選手215.62(技術点67.03構成点75.14)、5位はエレーナ・ラジオノワ選手209.24(技術点66.13構成点72.92)という結果でした。

二人とも特に目立った失敗はなかったのですが、この順位となっています。

ジャンプ一つの回転不足が、順位の変動をもたらすというキビシイ戦いです。

エリザベータ・トゥクタミシェワ選手は、フリープログラムで転倒してしまい、総合8位に終わりました。

7位に入ったアナスタシア・グバノバ選手もジュニアで活躍しており、将来が楽しみな選手です。

ヨーロッパ選手権の派遣選手はすでに発表されています。

2位のザギトワ選手はジュニアなので、

エフゲニア・メドベデワ選手、マリア・ソツコワ選手、アンナ・ポゴリラヤ選手の3名に決定しています。

世界選手権もおそらくこの3名なのでは?と思われます。

女子シングル結果

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本郷理華選手、自分に負けるな!貪欲に這い上がれ!全日本フィギュア2016

全日本フィギュアスケート選手権が終わった。

今回の大会では、特に女子の大会が興味深かった。

浅田真央選手、村上佳菜子選手らのベテラン世代。

宮原知子選手、本郷理華選手などの現役エース世代。

そして、樋口新葉選手、三原舞依選手、本田真凛選手などの、新勢力世代の三世代が、表彰台を目指すという

まさに三つ巴の戦いとなった。

それにしても、男女ともにジュニア世代の有望選手が多い。

平昌だけでなく、その次のオリンピックも非常に楽しみになってくる。

大会の結果、2017年3月29日から4月2日にフィンランドヘルシンキで行われる世界選手権に派遣される選手がきまった。

男子シングル 宇野昌磨羽生結弦田中刑事

女子シングル 宮原知子 樋口新葉 三原舞依

ペア     須藤澄玲&フランシス・ブードロオデ

アイスダンス 村元哉中クリス・リード

派遣される選手については、長くなりそうなので、それぞれ今後、記事にしていきたい。

そして、浅田真央選手についても、頭を少し整理してから記事にしたいと思っている。

今回、全日本選手権が終わったばかりで、どうしても書いておきたいと思った選手がいる。

本郷理華選手だ。

今シーズンのグランプリシリーズでは、スケートアメリカ6位、中国杯5位と優勝したこともある本郷選手にしては、結果が伴わなかった。

回転不足を多く取られていたが、演技自体は、そうそう悪いというものではなかった。

昨シーズンよりダイナミックさがまして、迫力がでてきている。

しかし、トップ選手と比べると、得点が伸び悩んでいる印象を受けた。

原因はなんだろうと考えたとき、今シーズンの本郷選手の演技中の表情に思い当たった。

今シーズンの本郷選手は、演技中不安そうな表情をしている。

特にフリープログラムでそれを感じていた。

ショートは、ダイナミックでメリハリのある曲調なので、しっくりくるのか自信をもってやっているように見える。

しかし、フリーになると、とたんに何か悩んでいるような心配そうな表情になってしまっている。

フリーの曲「アラビアのロレンス」は、同門の先輩鈴木明子さんの振り付け。

本郷選手のダイナミックさを生かしながら、表現力を高めていくという難しいプログラムだ。

本郷選手にピッタリのダイナミックな素晴らしいプログラムで、もう少し滑りこなしていけば迫力ある演技が期待できると感じていた。

そのフリーの曲を、全日本選手権では、昨シーズンの躍進をかなえたプログラム「リバーダンス」に変更してきたのだ。

選手がシーズンの途中で、曲を変更してくることはよくあることだ。

おおむね、得点が伸び悩む場合、曲を以前のものに変えることが多い。

たいていは、プラスの方向へ向かうものだが、曲を途中で変更するのは、「賭け」でもある。

今回の本郷選手の場合、曲の変更が裏目に出たのではないのかと感じる。

昨シーズンのフリープログラム「リバーダンス」は確かに素晴らしかった。

アメリカのボストンで行われた世界選手権でも、躍動的に演技する本郷選手に自然と手拍子が巻き起こり、

ステップの場面では、歓声さえ上がっていた。演技終了後には、大歓声に包まれていた。

いきいきと楽しそうに演技する本郷選手の姿に、観客は素直に感動していたのだ。

「あの素晴らしい演技をもう一度」という思惑で、本郷選手のコーチ陣が「リバーダンス」に変更するという決定をしたことは、

あり得ることだと思う。

ただ、本郷選手自信がその決定に心から納得していたかどうかは疑問に思う。

全日本前のインタビューで、本人は「表現することが自分の実力的に足りなかった。悔しい」という心情を吐露している。

気持ちは切り替わったとも発言していたが、全日本のフリープログラムに登場した本郷選手の表情は、演技前から不安そうな表情だった。

混戦の女子フリーの最終滑走というプレッシャーが影響していたのかもしれない。

しかし、昨シーズンあれほど、イキイキと「リバーダンス」を踊り、笑顔を見せていた本郷選手は、そこにはいない。

アラビアのロレンス」のときの、悩める表情のまま「リバーダンス」を演技していた。

特に最初のコンビネーションが単発になり、次のジャンプが2LOになってしまってからは、みるみる元気を失っていく。

途中のステップのところでは、泣きそうな表情をしていた。

「あきらめちゃダメだ」と思わずTVに向けて叫んだとたん、本郷選手は、最後のジャンプ3Sに3Tをつけ、3回転3回転のコンビネーションジャンプを決めた。

私は、驚いてしまった。そして、その驚きは感動の涙となって頬を伝った。

本郷選手は、悩める状況の中でも、あきらめてなどいなかったのだ。

結果的にすべてのコンビネーションジャンプをリカバリーしていたことになる。

本郷選手の予定していたジャンプ構成と実際に飛んだジャンプ構成を比較してみた。

演技最後の疲れている状態で2連続コンビネーションを飛び、しかも最後のジャンプが3回転3回転というリカバリーは、至難の業だ。

それを見事にやってのけている。

本郷選手はたしかに、何かに悩んでいるのだと思う。

表現なのか、うまくいかないもどかしさとか、なかなか点数が上がらない焦りとか理由はいろいろあるだろう。

そのような悩みが演技に表れてきてしまっているような極限の心理状態でも、心の奥底では決して勝利をあきらめていないというアスリートとしての本能を形にして私たちに見せてくれたのだ。

ほんとうに感動した。

実際に、リカバリーには成功していて、2LOになってしまったジャンプが、3LOだったら、表彰台に上がっていたであろう。

フィギュアスケートとは、ほんの少しのメンタルの変化が演技に影響を及ぼすスポーツであり、本当に難しい競技だと感じる。

しかし、今回のフリープログラムを冷静に振り返れば、本郷選手自身が自分に自信をもっていいんだということに気が付くはず。

ヨレヨレの心理状態でも、本能で勝利をつかもうとしているのだから。

ただし、「リバーダンス」を不安そうに演技してしまったことはよろしくない。

リバーダンスはイキイキと演じなければならないダンスだからだ。

「リバーダンス」は、アイルランドアイリッシュダンスがもとになっている。

上半身を動かさず、足だけでステップを踏むという独特のダンスだ。

アイルランドイングランドの統治下にあった時代、言葉を含め、アイルランド文化を感じさせるものは禁止されていた。

そんな状況下で発展したのがアイリッシュダンスだ。

窓の外から、イングランド軍に踊っている姿がばれないように、上半身を動かさず、足だけでステップを踏むという反骨精神にあふれたダンスなのだ。

どん底の状況下のアイルランドの人たちが、未来への希望を胸に秘め編み出した究極のダンスだ。

本郷選手も、アイルランドの人々のようにたくましく踊り続け、這い上がってきてほしい。

現代では、どんなダンスだって堂々と自由に踊ることができるのだから。

そんな本郷選手の渾身の演技を見せてもらうことが、私の未来への希望でもある。

全日本フィギュア波乱の予感!男子は羽生・山本草太・村上大介が欠場 浅田真央は上り調子(本人談!)

いよいよ全日本フィギュアスケート選手権が始まります。

男子シングルでは、全日本5連覇がかかっていた羽生結弦選手がインフルエンザのため欠場するとのこと。

残念ですが、ゆっくり休んで、早く体調をもどしてもらいたい。

世界選手権には、特例により、派遣されると思われます。

今回の全日本では、羽生選手だけではなく、山本草太選手がケガで欠場、村上大介選手もケガで予選を棄権したため出場できません。

個人的には、村上大介選手が出場できないのは残念。

来シーズンに向けて頑張ってください。

羽生選手が出場しないとなると、宇野昌磨選手には、優勝のチャンスが高まります。

無良崇人選手、田中刑事選手にも表彰台のチャンスがありますね。

そしてたくさんのジュニア世代の選手が出場します。

宇野昌磨選手を発見したときのようなワクワクする出会いがあるでしょうか。楽しみです。

女子シングルは、宮原知子選手の三連覇なるか?に注目が集まります。

今シーズンは、表現力に磨きがかかり、ステップアップした宮原選手。

フリープログラムのレイヤ姫いいですよね。とても魅力的に演じています。

私が注目している女子選手は、本郷理華選手。

今シーズンは、グランプリシリーズで思うように成績が残せませんでした。

宮原選手との差が少しついてしまいましたが、本郷選手の潜在能力の高さは、日本選手の中でも突出しています。

フリープログラムの「アラビアのロレンス」本郷選手の表現力を高めるいいプログラムだと思っていたのですが、

全日本では、昨シーズン使用した「リバーダンス」に曲を変更し、挑んでくるようです。

「リバーダンス」も好きなプログラムだったのですが、本郷選手にもステップアップして宮原選手に追いついてほしいなと思います。

グランプリシリーズフランス杯で3位となった樋口新葉選手、スケートアメリカで3位となった三原舞衣の活躍も気になります。

特に、三原選手は、シニアデビューしてからのほうが、ジュニア時代より素晴らしいスケートを披露しているように感じます。

女子シングルにもジュニア世代の選手がたくさん出場します。

全日本ジュニアのトップ3である、坂本花織選手、白岩優奈選手、本田真凜選手がどの位置にくるのか注目ですね。

私は、ジュニアの選手は基本的に評価しないようにしています。

というのも、ジュニアからシニアに上がった時の壁は、想像以上に高いと思うからです。

ジュニアでいくら活躍しても、シニアに上がったら、技術だけではなく表現をしなければならなくなり、技術力と表現のバランスが

取れなくなってしまう選手が多いのです。

女子の場合、体形の変化とも時期が重なるので、シニアに上がったらジャンプが決まらなくなり、結果が出せなくなってしまった選手をたくさんみてきました。

ジュニア時代から輝き続ける選手というのは、相当まれなケースです。

近年では、浅田真央選手、アデリナ・ソトニコワ選手、エリザベータ・トゥクタミシェワ選手、ユリア・リプニツカヤ選手・グレイシー・ゴールド選手、エレーナ・ラジオノワ選手・エフゲニア・メドベデワ選手は、ジュニアの時から人を引き付ける何かを持っている選手でした。

見事に、トップ選手ばかりです。

しかし、今回ジュニアの中にとてもきになる選手がいます。

それは、白岩優奈選手です。

白岩選手は高く正確なジャンプを飛ぶことができる上、エレガントな女性らしい雰囲気を持っています。

日本のジュニア選手は、ある意味当然ですが、子供っぽい印象を受ける選手が多いので、白岩選手のような雰囲気は強い個性になります。

こういう雰囲気は、持とうと思って持てるものではありません。天性の才能といえるでしょう。

まだ15歳(2001年生まれ)なので、これからシニアに上がっていったときに、ロシアの同世代の選手たちにも負けないようなエレガントな雰囲気を

持ち続けてほしいと願っています。

ジャンプは申し分ないのですが、ステップとスピンをもう少し頑張ってほしいかなと期待を込めて見させていただいてます。

白岩選手がシニアに上がった時にどんな演技を見せるのか、今から楽しみにしています。

そして、浅田真央選手。

スポーツニュースのインタビューでこんなことを言っていました。

「気持ち的に心が折れて、立ち直るのに時間がかかったが、今は復活しました。今シーズンは、体と技術と心がいまいち合っていなかったが、全日本に向けて上がってきています。いい方向に向かていると思う。このままで終わるわけにはいかない。自分を信じて挑むだけです。」

膝の状態も大丈夫になってきたと発言しています。

とにかく、早く浅田選手の「リチュアルダンス」が見たくて仕方がありません。

ショートの悪とフリーの炎。どちらも、この上なく芸術的です。

予定している技術的要素を、完璧にこなせれば、今でも浅田真央選手に勝てる選手は日本にはいないでしょう。

練習の映像でトリプルアクセルを飛んでいました。両足着氷でしたが、状態は良さそうです。

ニュースで、高橋大輔さんが浅田選手のアクセルをみて、「試合で気持ちが入れば、着氷できる状態」と言っていました。

浅田選手自身も、「全日本までに、確立とかじゃなくて、一回でもきちんと降りたら、試合でアクセルをいれる。」と発言していました。

「確率とかじゃない」という判断基準が浅田選手らしいなと感じます。

本人のコメントにもありましたが、心技体が浅田選手の中で一致したとき、どんな素晴らし演技を見せてくれるのか期待せずにはいられません。

羽生結弦だけじゃない!NHK杯男子シングル出場全選手の魅力とは

やはり、NHK杯はおもしろい!

何がいいかといえば、全試合生中継で見ることができる。

そして何よりも素晴らしいのは、全出場選手の演技を見ることができること。

しかも、男女シングルだけではなく、ペアとアイスダンスも全選手の演技を見ることができます。

自宅にいながら、現地で観戦しているような緊張感を味わうことができるのです。

開催される3日間のあいだ、フィギュアスケートを心から楽しむことができる大会です。

今回のNHK杯で印象的だったのは、男子シングルの選手たちが非常に魅力的だったということです。

男子の場合、4回転への挑戦が試合のメインテーマになってしまい、正直、少しフィギュアスケートへの興味が薄れていたのです。

ところが、男子出場選手の演技をリアルタイムで見ているうちに、フィギュアスケートってやっぱり面白いと思うことができました。

すべての選手が、4回転に挑戦しながら、自分の個性をだしたプログラムを演じようと努力しているのをヒシヒシと感じたのです。

個性に富んだ様々なタイプの選手の演技を見るにつけ、この選手もやっぱりおもしろいなぁと感嘆し、それぞれの選手の個性あふれる演技を

堪能できました。

高難度の技術に挑戦しながら、芸術性を表現し、さらに、スケーター個人の魅力をスケートにのせて表現するのが、フィギュアスケートの魅力です。

マスコミでは、どうしても羽生結弦選手だけの報道になりがちです。

まぁそれは、「当然」といえばそうなのですが、今回は、羽生選手の同級生ということで、田中刑事選手と日野龍樹選手にもスポットライトが当たったので、うれしく感じました。

私にフィギュアスケートへの情熱を取り戻してくれた感謝の気持ちを込めて、すべての選手にスポットライトを当てたいと思います。

2016年NHK杯出場 男子シングル選手全11名紹介

※ロシアのアディアン・ピトキーエフ選手が、出場辞退したため11名

11位 グラント・ホッホスタイン選手(アメリカ)1990年生まれ 26歳

ここ2.3年全米選手権を見ていますが、まさに、ここ2,3年で急激に上位に入るようになった選手。

面白い名前なので覚えやすいです。外国人選手の名前については、統一した表記ではない場合があります。

ホッホスタイン選手も、ホクスタインと表記されることがあります。

選手活動をしながら、コーチとしても教えているという異色の経歴の持ち主。

人に教えることで、選手として改めて気が付くことも多いのでしょう。

コーチとしての経験が選手活動に良い影響を与えているのかもしれません。

この経験を生かして、名コーチになってもらいたいな。

選手としては、ジャンプさえ決まれば高得点をたたき出せるはず。今回は、ジャンプが決まらず11位という結果でした。

美しいパールスピンの名手キャロライン・ジャン選手(アメリカ)と婚約中とのこと。

10位 エラッジ・バルデ選手(カナダ)1990年生まれ 26歳

美しいアーティスト系のオーラをまとった選手。

日本でも多くのアイスショーに出演しているのでファンも多いです。

存在するだけで回りがパッと明るくなるようなハッピーな存在感を持っています。

4回転ジャンプが決まれば、もっと上位に来るのでしょうが、「そんなことはどうでもいいからもっと見ていたい」と、

思わせる真のアーティストです。

アイスショーで、何発ものバックフリップを見せてくれるサービス精神から、本人の人柄の良さも伝わってきます。

演技には、しなやかさとパワーという相反する要素を感じることができ、コメディでもシリアスでも演じ分けられる選手。

どちらの内容を演じても、本人の人柄の暖かさを感じることができます。

9位 日野龍樹選手(日本)1995年生まれ 21歳

龍樹(リュージュ)という漫画の主人公のような素敵な名前、ロシアと日本のハーフという端正な顔立ちから、

スターの素質抜群だと誰もが思ってる日野選手。

ジュニアからシニアに上がる段階で、成績不振の日々。試合でなかなかジャンプが決まらない。

羽生選手の言葉どおり、フィギュアスケートファンだれもが、日野選手に対して

「もっとこいや!」と思っていました。

今回のNHK杯出場は、同門の後輩、山本草太選手の欠場枠でしたが、チャンスはチャンス。

精一杯挑んだのだろうなと思います。

中京大学4年生ということで、鈴木明子の部屋では、「これも就職活動です!」

と訴えていましたが、大学卒業後、どうするのか気になるところです。

もし、引退するとしたら、12月の全日本選手権が最後の試合になるはず。

日野選手、あなたの見た目は、武器なのです。

スポーツは顔でするものではありませんが、フィギュアスケートの場合、美しい容姿を持っていれば、それば武器の一つです。

最大限に利用して、演技をすべきです。

ジャンプを決めて、きめのポーズをすれば、世界の現役選手の中でもダントツのインパクトを与えることができるはず。

全日本選手権で、「もっときた!」ところを、私たちに見せてください!

8位 ナム・ニューエン選手(カナダ)1998年生まれ18歳

苗字はグエンとも表記。

ブライアン・オーサーコーチ率いるクリケットクラブを去り、今シーズンからアメリカに拠点を移しました。

新コーチは、デイヴィッド・グリンコーチ。女子のポリーナ・エドモンズ選手(アメリカ)のコーチです。

なぜ、クリケットクラブを去ったのか気になります。

身長が伸びたことにより、ジャンプの安定感を欠き、昨シーズンは、世界選手権27位と不振のシーズンでした。

その前のシーズンでは、5位入賞しているので、この落差に落ち込んだのかもしれません。

羽生結弦ハビエル・フェルナンデスという2大巨頭と一緒に練習をするのは、刺激になるでしょうが、

オーサーコーチとしては、羽生&フェルナンデスに掛かり切りでしょうから、3番手となるニューエン選手をどこまでケアしていたのか気になるところです。

とにかく、新しい環境で新規一転し、世界選手権の場に復活してくると期待しています。

7位 ジェイソン・ブラウン選手(アメリカ)1994年生まれ21歳

私は、長年フィギュアスケートを見てきて、ひとつの結論にたどりつきました。

それは、高得点を取り優勝することだけがフィギュアの魅力ではないということです。

フィギュアスケートの魅力とは、

歴代最高得点を更新し、金メダルを取ること。

芸術作品と言わしめるプログラムを滑ること。

フィギュアスケートの魅力を体現したようなスケートを見せること。

ジェイソン・ブラウン選手は、フィギュアスケートの魅力を体現したスケートを堪能させてくれる選手です。

もちろん、4回転ジャンプにも挑戦し、アメリカ大会では、減点されたものの成功もさせていますから、金メダルを取る可能性もあります。

技術的にも素晴らしい素質を持っています。

高さと幅のある美しいジャンプ。スピンの回転速度は速く、しかもブレない軸。足がかってに動いているかのような、なめらかな美しい滑り。

難しく多彩な曲のつなぎ部分を難なくこなす技術力。女子選手のようにエレガントなスパイラルができる柔軟性。

そして、フィギュアのバレエジャンプ史上歴代最高に美しいバレエジャンプ。

しかし、そんなことよりもなによりも、ジェイソン・ブラウン選手の演技からは、「スケートが大好き」という彼の気持ちが

あふれ出てきています。

ジェイソンが優勝した全米選手権2014のフリープログラム「リバーダンス」を見たときには、「人の心ってこんなにあふれてくるものなんだ!」と感動して、涙がとまりませんでした。

ジェイソンの不思議なところは、「他の選手に絶対勝ってやる!」というような競争心をまったく感じさせないところです。

逆にそれでよく世界のトップで戦えるなと思うほど、無欲に見えます。

もちろん心の中では思っているのかもしれませんが、そういった野心のようなものは、彼のスケートからは一切感じません。

試合では、彼の明るい人柄、人を思いやる気持ち、彼の優しい心が伝わってくるような演技を見せてくれます。

エラッジ・バルデ選手のコメントにも書きましたが、「点数とかいいから、もっと見ていたい」と思わせてくれる選手の代表格です。

キス&クライでのはしゃぎっぷりも含めて大好きな選手です。

6位デニス・ヴァシリエフス選手(ラトビア)1999年うまれ 17歳

今シーズンからコーチを元世界王者ステファン・ランビエール氏に変更し、シニアに参戦しいたヴァシリエフス選手。

これは、楽しみな選手が表れました。

グランプリシリーズの他の大会でも、すべての選手の演技を放送してもらえると、こういう素晴らしい出会いがあるのですが。

さわやかな好青年タイプの選手で、まだ17歳なのでこれからどんどん成長していくと思います。

もう少し筋肉が増えてきて、体が成長したときに、ジャンプが安定していれば、トップを狙える選手ですね。

明るい華やかな雰囲気がありますし、なかなかのイケメンなので女性人気は高まる予感がします。

女性人気絶大だったランビエールコーチのもとで、どんな個性をまとってくるのか非常に楽しみです。

5位 ミハイル・コリヤダ選手(ロシア)1995年生まれ21歳

彼はきっとまじめな性格なのでしょう。いつも険しい表情をしているのでとても気になります。

童顔の顔つきなのに、笑顔が少なく、もったいない気もします。

コリヤダ選手の笑顔が見たい。と思わず応援したくなるような雰囲気を持っています。

ロシアの皇帝プルシェンコの後釜として、同じ年のマキシム・コフトゥン選手と切磋琢磨して、

スケーターとしてたくましく成長してほしい!

4位 アレクセイ・ビチェンコ選手(イスラエル)1988生まれ28歳

オレクシイ・ビチェンコとも、バイチェンコとも表記されることがあります。

今シーズンは、ロステレコム杯で3位に入り、非常に好調ですね。

28歳のベテランならではの味がある選手。ショートプログラムの独創的なステップも面白いです。

グランプリシリーズのポイントでは、9位となり、なんと「補欠枠」を勝ち取りました。

右腕にある落書きのようなタトゥーが気になります。

なんであのマークにしたのでしょうか?不思議な雰囲気をもった選手ですね。

3位 田中刑事選手(日本)1994年生まれ24歳

今シーズン、ようやく選手として個性が完成されつつある田中選手。

上半身の動きも、ステップも昨シーズンより明らかによくなっています。

気持ちの問題なのでしょうか。今までは、どこか自信なさげな表情で演技をしているように感じていました。

もっと堂々と演技をしないと、世界では通用しないと感じていました。

NHK杯では、SPもフリーも堂々と滑りきったといえるでしょう。

大人の男の色気という個性が田中選手の武器となるように、もっとあふれさせてほしいと思います。

2位 ネイサン・チェン選手(アメリカ)1999年生まれ17歳

ここ2、3年全米選手権を見ているので、ネイサン・チェン選手の演技は見ていました。

ただ、まだまだ子供という印象がぬぐえなかったので、今シーズンなぜ王者羽生選手がネイサンを気にしているのかわかりませんでした。

シニアに参戦のシーズンで、4種類の4回転ジャンプ(ルッツ、フリップ、サルコウトゥループ)をひっさげてくるのは、

確かにすごい!という感じです。

しかし、ジャンプ以上に、ネイサンのシニアの演技で驚いたのは、バレエダンサーとして素晴らしい素質を持っていることです。

ダンサー系、俳優系の演技をする男子選手はいますが、バレエダンサー系の選手は、なかなか珍しいです。

近年では、ステファン・ランビエール(スイス)さんくらいではないでしょうか?

ランビエールさんに匹敵するようなプリンシパルになってほしいと非常に期待しています。

このバレエダンサーの素質で、4種類の4回転ジャンプを飛ぶことができる。

なるほど、羽生選手が気にするわけですね。ネイサン・チェン選手は、羽生選手を脅かす存在になることは間違いありません。

それが平昌に間に合うかどうかは微妙ですが、ネイサンのコーチは、名匠ラファエル・アルトゥニアンコーチ。

アルトゥニアンコーチは、アメリカで教えていますが、もともとロシアのタチアナ・タラソワコーチの弟子ともいえる存在。

同じくアメリカのアシュリー・ワグナー選手も、アダム・リッポン選手も、アルトゥニアンコーチに変更してから、

めきめきと成績が上がっていますので、あと1シーズン半でどうなるのか?注目です。

1位 羽生結弦選手(日本)1994年生まれ 21歳

王者羽生結弦選手。ただものではないオーラにつつまれ、王者の貫禄も出てきましたね。

昨シーズンのグランプリファイナルでは、330.43という歴代最高得点をたたき出しています。

普通に考えれば、そのままの構成で言ってもジャンプが成功すれば、330点出せるということですから、無理をして難易度の高い構成に

する必要もないように感じます。

しかし、羽生選手自身が、「王者の自分が世界一難しいプログラムをやるのだ」というプライドを持っているのだと感じます。

誰にも負けたくないという気持ちが誰よりも強いのでしょう。

そこまでの闘争心は、もはや芸術の域ですよ。

戦いに出かけるグラディエーターのようなものです。自分以外が生き残ることを許さない。

という強い気持ちを持っている羽生選手。2大会連続でオリンピックの金メダルを獲得できたら、日本人としてもうれしいです。

飽くなき闘争心とモチベーションを持っている羽生選手最強時代は、まだまだ続きそうですね。

ライバルのフェルナンデス選手との闘いは、もはや仲良しなどと言っていられないのではないのかな?

フェルナンデス選手も2大会連続で世界選手権を制し、自信とプライドを持ってきていると思います。

しかも、スペインの選手でフィギュアスケートでオリンピック金メダルを取れば、国民栄誉賞なみの快挙でしょう。

かなり、本気でやってくると思うのですが。

ブライアン・オーサーコーチは、どちらに平昌の金メダルを取らせるつもりなのでしょうか。

金メダルは1つしかないのです。

まずは、12月9日からのグランプリファィナルで、対決を見ることができますね。

12月は、フィギュアスケート一色の1か月になりそうです。

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