羽生結弦だけじゃない!NHK杯男子シングル出場全選手の魅力とは
やはり、NHK杯はおもしろい!
何がいいかといえば、全試合生中継で見ることができる。
そして何よりも素晴らしいのは、全出場選手の演技を見ることができること。
しかも、男女シングルだけではなく、ペアとアイスダンスも全選手の演技を見ることができます。
自宅にいながら、現地で観戦しているような緊張感を味わうことができるのです。
開催される3日間のあいだ、フィギュアスケートを心から楽しむことができる大会です。
今回のNHK杯で印象的だったのは、男子シングルの選手たちが非常に魅力的だったということです。
男子の場合、4回転への挑戦が試合のメインテーマになってしまい、正直、少しフィギュアスケートへの興味が薄れていたのです。
ところが、男子出場選手の演技をリアルタイムで見ているうちに、フィギュアスケートってやっぱり面白いと思うことができました。
すべての選手が、4回転に挑戦しながら、自分の個性をだしたプログラムを演じようと努力しているのをヒシヒシと感じたのです。
個性に富んだ様々なタイプの選手の演技を見るにつけ、この選手もやっぱりおもしろいなぁと感嘆し、それぞれの選手の個性あふれる演技を
堪能できました。
高難度の技術に挑戦しながら、芸術性を表現し、さらに、スケーター個人の魅力をスケートにのせて表現するのが、フィギュアスケートの魅力です。
マスコミでは、どうしても羽生結弦選手だけの報道になりがちです。
まぁそれは、「当然」といえばそうなのですが、今回は、羽生選手の同級生ということで、田中刑事選手と日野龍樹選手にもスポットライトが当たったので、うれしく感じました。
私にフィギュアスケートへの情熱を取り戻してくれた感謝の気持ちを込めて、すべての選手にスポットライトを当てたいと思います。
2016年NHK杯出場 男子シングル選手全11名紹介
※ロシアのアディアン・ピトキーエフ選手が、出場辞退したため11名
11位 グラント・ホッホスタイン選手(アメリカ)1990年生まれ 26歳
ここ2.3年全米選手権を見ていますが、まさに、ここ2,3年で急激に上位に入るようになった選手。
面白い名前なので覚えやすいです。外国人選手の名前については、統一した表記ではない場合があります。
ホッホスタイン選手も、ホクスタインと表記されることがあります。
選手活動をしながら、コーチとしても教えているという異色の経歴の持ち主。
人に教えることで、選手として改めて気が付くことも多いのでしょう。
コーチとしての経験が選手活動に良い影響を与えているのかもしれません。
この経験を生かして、名コーチになってもらいたいな。
選手としては、ジャンプさえ決まれば高得点をたたき出せるはず。今回は、ジャンプが決まらず11位という結果でした。
美しいパールスピンの名手キャロライン・ジャン選手(アメリカ)と婚約中とのこと。
10位 エラッジ・バルデ選手(カナダ)1990年生まれ 26歳
美しいアーティスト系のオーラをまとった選手。
日本でも多くのアイスショーに出演しているのでファンも多いです。
存在するだけで回りがパッと明るくなるようなハッピーな存在感を持っています。
4回転ジャンプが決まれば、もっと上位に来るのでしょうが、「そんなことはどうでもいいからもっと見ていたい」と、
思わせる真のアーティストです。
アイスショーで、何発ものバックフリップを見せてくれるサービス精神から、本人の人柄の良さも伝わってきます。
演技には、しなやかさとパワーという相反する要素を感じることができ、コメディでもシリアスでも演じ分けられる選手。
どちらの内容を演じても、本人の人柄の暖かさを感じることができます。
9位 日野龍樹選手(日本)1995年生まれ 21歳
龍樹(リュージュ)という漫画の主人公のような素敵な名前、ロシアと日本のハーフという端正な顔立ちから、
スターの素質抜群だと誰もが思ってる日野選手。
ジュニアからシニアに上がる段階で、成績不振の日々。試合でなかなかジャンプが決まらない。
羽生選手の言葉どおり、フィギュアスケートファンだれもが、日野選手に対して
「もっとこいや!」と思っていました。
今回のNHK杯出場は、同門の後輩、山本草太選手の欠場枠でしたが、チャンスはチャンス。
精一杯挑んだのだろうなと思います。
中京大学4年生ということで、鈴木明子の部屋では、「これも就職活動です!」
と訴えていましたが、大学卒業後、どうするのか気になるところです。
もし、引退するとしたら、12月の全日本選手権が最後の試合になるはず。
日野選手、あなたの見た目は、武器なのです。
スポーツは顔でするものではありませんが、フィギュアスケートの場合、美しい容姿を持っていれば、それば武器の一つです。
最大限に利用して、演技をすべきです。
ジャンプを決めて、きめのポーズをすれば、世界の現役選手の中でもダントツのインパクトを与えることができるはず。
全日本選手権で、「もっときた!」ところを、私たちに見せてください!
8位 ナム・ニューエン選手(カナダ)1998年生まれ18歳
苗字はグエンとも表記。
ブライアン・オーサーコーチ率いるクリケットクラブを去り、今シーズンからアメリカに拠点を移しました。
新コーチは、デイヴィッド・グリンコーチ。女子のポリーナ・エドモンズ選手(アメリカ)のコーチです。
なぜ、クリケットクラブを去ったのか気になります。
身長が伸びたことにより、ジャンプの安定感を欠き、昨シーズンは、世界選手権27位と不振のシーズンでした。
その前のシーズンでは、5位入賞しているので、この落差に落ち込んだのかもしれません。
羽生結弦&ハビエル・フェルナンデスという2大巨頭と一緒に練習をするのは、刺激になるでしょうが、
オーサーコーチとしては、羽生&フェルナンデスに掛かり切りでしょうから、3番手となるニューエン選手をどこまでケアしていたのか気になるところです。
とにかく、新しい環境で新規一転し、世界選手権の場に復活してくると期待しています。
7位 ジェイソン・ブラウン選手(アメリカ)1994年生まれ21歳
私は、長年フィギュアスケートを見てきて、ひとつの結論にたどりつきました。
それは、高得点を取り優勝することだけがフィギュアの魅力ではないということです。
フィギュアスケートの魅力とは、
歴代最高得点を更新し、金メダルを取ること。
芸術作品と言わしめるプログラムを滑ること。
フィギュアスケートの魅力を体現したようなスケートを見せること。
ジェイソン・ブラウン選手は、フィギュアスケートの魅力を体現したスケートを堪能させてくれる選手です。
もちろん、4回転ジャンプにも挑戦し、アメリカ大会では、減点されたものの成功もさせていますから、金メダルを取る可能性もあります。
技術的にも素晴らしい素質を持っています。
高さと幅のある美しいジャンプ。スピンの回転速度は速く、しかもブレない軸。足がかってに動いているかのような、なめらかな美しい滑り。
難しく多彩な曲のつなぎ部分を難なくこなす技術力。女子選手のようにエレガントなスパイラルができる柔軟性。
そして、フィギュアのバレエジャンプ史上歴代最高に美しいバレエジャンプ。
しかし、そんなことよりもなによりも、ジェイソン・ブラウン選手の演技からは、「スケートが大好き」という彼の気持ちが
あふれ出てきています。
ジェイソンが優勝した全米選手権2014のフリープログラム「リバーダンス」を見たときには、「人の心ってこんなにあふれてくるものなんだ!」と感動して、涙がとまりませんでした。
ジェイソンの不思議なところは、「他の選手に絶対勝ってやる!」というような競争心をまったく感じさせないところです。
逆にそれでよく世界のトップで戦えるなと思うほど、無欲に見えます。
もちろん心の中では思っているのかもしれませんが、そういった野心のようなものは、彼のスケートからは一切感じません。
試合では、彼の明るい人柄、人を思いやる気持ち、彼の優しい心が伝わってくるような演技を見せてくれます。
エラッジ・バルデ選手のコメントにも書きましたが、「点数とかいいから、もっと見ていたい」と思わせてくれる選手の代表格です。
キス&クライでのはしゃぎっぷりも含めて大好きな選手です。
6位デニス・ヴァシリエフス選手(ラトビア)1999年うまれ 17歳
今シーズンからコーチを元世界王者ステファン・ランビエール氏に変更し、シニアに参戦しいたヴァシリエフス選手。
これは、楽しみな選手が表れました。
グランプリシリーズの他の大会でも、すべての選手の演技を放送してもらえると、こういう素晴らしい出会いがあるのですが。
さわやかな好青年タイプの選手で、まだ17歳なのでこれからどんどん成長していくと思います。
もう少し筋肉が増えてきて、体が成長したときに、ジャンプが安定していれば、トップを狙える選手ですね。
明るい華やかな雰囲気がありますし、なかなかのイケメンなので女性人気は高まる予感がします。
女性人気絶大だったランビエールコーチのもとで、どんな個性をまとってくるのか非常に楽しみです。
5位 ミハイル・コリヤダ選手(ロシア)1995年生まれ21歳
彼はきっとまじめな性格なのでしょう。いつも険しい表情をしているのでとても気になります。
童顔の顔つきなのに、笑顔が少なく、もったいない気もします。
コリヤダ選手の笑顔が見たい。と思わず応援したくなるような雰囲気を持っています。
ロシアの皇帝プルシェンコの後釜として、同じ年のマキシム・コフトゥン選手と切磋琢磨して、
スケーターとしてたくましく成長してほしい!
4位 アレクセイ・ビチェンコ選手(イスラエル)1988生まれ28歳
オレクシイ・ビチェンコとも、バイチェンコとも表記されることがあります。
今シーズンは、ロステレコム杯で3位に入り、非常に好調ですね。
28歳のベテランならではの味がある選手。ショートプログラムの独創的なステップも面白いです。
グランプリシリーズのポイントでは、9位となり、なんと「補欠枠」を勝ち取りました。
右腕にある落書きのようなタトゥーが気になります。
なんであのマークにしたのでしょうか?不思議な雰囲気をもった選手ですね。
3位 田中刑事選手(日本)1994年生まれ24歳
今シーズン、ようやく選手として個性が完成されつつある田中選手。
上半身の動きも、ステップも昨シーズンより明らかによくなっています。
気持ちの問題なのでしょうか。今までは、どこか自信なさげな表情で演技をしているように感じていました。
もっと堂々と演技をしないと、世界では通用しないと感じていました。
NHK杯では、SPもフリーも堂々と滑りきったといえるでしょう。
大人の男の色気という個性が田中選手の武器となるように、もっとあふれさせてほしいと思います。
2位 ネイサン・チェン選手(アメリカ)1999年生まれ17歳
ここ2、3年全米選手権を見ているので、ネイサン・チェン選手の演技は見ていました。
ただ、まだまだ子供という印象がぬぐえなかったので、今シーズンなぜ王者羽生選手がネイサンを気にしているのかわかりませんでした。
シニアに参戦のシーズンで、4種類の4回転ジャンプ(ルッツ、フリップ、サルコウ、トゥループ)をひっさげてくるのは、
確かにすごい!という感じです。
しかし、ジャンプ以上に、ネイサンのシニアの演技で驚いたのは、バレエダンサーとして素晴らしい素質を持っていることです。
ダンサー系、俳優系の演技をする男子選手はいますが、バレエダンサー系の選手は、なかなか珍しいです。
近年では、ステファン・ランビエール(スイス)さんくらいではないでしょうか?
ランビエールさんに匹敵するようなプリンシパルになってほしいと非常に期待しています。
このバレエダンサーの素質で、4種類の4回転ジャンプを飛ぶことができる。
なるほど、羽生選手が気にするわけですね。ネイサン・チェン選手は、羽生選手を脅かす存在になることは間違いありません。
それが平昌に間に合うかどうかは微妙ですが、ネイサンのコーチは、名匠ラファエル・アルトゥニアンコーチ。
アルトゥニアンコーチは、アメリカで教えていますが、もともとロシアのタチアナ・タラソワコーチの弟子ともいえる存在。
同じくアメリカのアシュリー・ワグナー選手も、アダム・リッポン選手も、アルトゥニアンコーチに変更してから、
めきめきと成績が上がっていますので、あと1シーズン半でどうなるのか?注目です。
1位 羽生結弦選手(日本)1994年生まれ 21歳
王者羽生結弦選手。ただものではないオーラにつつまれ、王者の貫禄も出てきましたね。
昨シーズンのグランプリファイナルでは、330.43という歴代最高得点をたたき出しています。
普通に考えれば、そのままの構成で言ってもジャンプが成功すれば、330点出せるということですから、無理をして難易度の高い構成に
する必要もないように感じます。
しかし、羽生選手自身が、「王者の自分が世界一難しいプログラムをやるのだ」というプライドを持っているのだと感じます。
誰にも負けたくないという気持ちが誰よりも強いのでしょう。
そこまでの闘争心は、もはや芸術の域ですよ。
戦いに出かけるグラディエーターのようなものです。自分以外が生き残ることを許さない。
という強い気持ちを持っている羽生選手。2大会連続でオリンピックの金メダルを獲得できたら、日本人としてもうれしいです。
飽くなき闘争心とモチベーションを持っている羽生選手最強時代は、まだまだ続きそうですね。
ライバルのフェルナンデス選手との闘いは、もはや仲良しなどと言っていられないのではないのかな?
フェルナンデス選手も2大会連続で世界選手権を制し、自信とプライドを持ってきていると思います。
しかも、スペインの選手でフィギュアスケートでオリンピック金メダルを取れば、国民栄誉賞なみの快挙でしょう。
かなり、本気でやってくると思うのですが。
ブライアン・オーサーコーチは、どちらに平昌の金メダルを取らせるつもりなのでしょうか。
金メダルは1つしかないのです。
まずは、12月9日からのグランプリファィナルで、対決を見ることができますね。
12月は、フィギュアスケート一色の1か月になりそうです。