浅田真央選手 しなやかなダンスを披露 フィンランディア杯SP
今季ショートプログラム「リチュアルダンス」をyoutubeで見ました。
THE ICE での披露も見ていないので、初見となります。
事前情報も、ローリー・ニコルの振り付けということと、ショートとフリーで同じ曲を使用する
ということだけしか知らない状態でみました。
はっきり言って、素晴らしいです!
バレエのコンテンポラリーダンスでも、ここまでの完成度のものは、なかなかないと思います。
まさに、舞踏と呼ぶにふさわしい、芸術性あふれるプログラムです。
浅田選手は、しなやかにそして、軽やかに演じていました。
正直に言うと、ここまでダンスとして成立するとは思っていませんでした。
今までは、バレエでも王道のプリマを演じることが多かった浅田選手。
今回の「リチュアルダンス」は、どちらかというと、キャラクターダンサーが演じるような専門的な舞踏です。
それをここまでしなやかに、芸術性豊かに演じられるとは、驚きという感情でいっぱいです。
この仕上がりを、ショーでもエキシビジョンでもなく、競技会で披露できたというのは、ベテランになった証なのでしょう。
今までの、浅田選手の無垢なプリマのような演技の素地に、さらにプラス要素として、円熟した演技者としての姿を見せつけられました。
スケート人生の集大成が近づいている選手というのは、ほんとうに円熟するのですね。
その瞬間を見せていただいた、という喜びも感じました。
これは、フリープログラムも楽しみです。
演技を見た後に調べたのですが、「リチュアルダンス」は、バレエ組曲「恋は魔術師」の中の一曲で、日本語では「火祭りの踊り」という曲とのこと。
スペインのファリャ作曲とのことで、なるほど、「キャラクターダンサーみたい」という自分の感想も納得しました。
バレエでいうキャラクターダンスの代表格は、「白鳥の湖」に登場する「スペインの踊り」というダンスが有名です。
今回のリチュアルダンスの振り付けは、ちょっとスペインの踊りを思わせるようなところもあり、なんとなくローリー・ニコルの思惑が分かったような気がします。
プリマにキャラクターダンスをやらせるという試みです。
バレエの世界でも、プリマとキャラクターを両方こなせるバレリーナは、そうそういません。
浅田選手は、プリマの素晴らしい素地を持っているので、さらにキャラクター的な情熱ある踊りを会得すれば、彼女の新しい一面を花開かせることができると思います。
演技中は、ジャンプもスピンも、バレエの技の一種のように感じ、演技の初めから終わりまで一つのダンスとして成立していました。
ここで、突然なのですが、フィギュアスケートのフィギュアの意味をご存知でしょうか?
フィギュアとは、氷の上に図形(フィギュア)を描くように滑ることを意味しています。
浅田選手の演技は、やんちゃな妖精が、氷の上に図形を描いて遊んでいるようにも感じさせ、
まさにフィギュアスケートの神髄(氷に図形を描くこと)を、こんなに楽しく見せてもらえるとは思いもよりませんでした。
浅田選手のコーチである、佐藤信夫コーチは、現役時代、このフィギュア(氷の上に図形を描くこと)の達人だったと聞いているので、
佐藤コーチの教えも、ちゃくちゃくと自分のものにしているということなのでしょう。
youtubeのカメラアングルもよかったのだと思います。高いところにあるカメラから、リンク全体を移すようなアングルで、観客席から見ているような感覚で演技全体をみることができました。
このプログラム、絶対に会場で見たほうが素晴らしさを感じられると思います。
テレビ中継ですと、どうしてもアップが多くなり、選手の表情はわかりやすいですが、演技全体をみることができないと感じています。
今シーズンは、会場に足を運び、生で見てみたい!と思わせるフィギュアスケートの魅力がたっぷりつまったプログラムでした。