ロシア選手権2016女子シングルは、事実上の世界選手権のようだった ショートプログラム結果
2015年12月24日からの全日本選手権とほぼ同じ日程で行われたロシア選手権。
女子シングルは、実力者ぞろいで、事実上の世界選手権といっても過言ではない状況でした。
見ごたえのある戦いで、非常に楽しめました。
最初に申し上げますが、ロシア選手権をはじめ、カナダ選手権、全米選手権などの各国の国内選手権は、
ISUの国際大会より、3点から10点ほど、点数が高く出る傾向にあります。
国内選手権で、点数を高く出して、世界選手権へ向けてアピールするために点数を高く出すのです。
日本だけは、真面目にISUの国際大会の基準で全日本選手権を行っていました。
数年前の全日本選手権で、橋大輔さんが、ショートプログラムで4回転+3回転、3ルッツ、3アクセルの構成で、ノーミスだったにも関わらず、100点越えをしなかったので、小塚崇彦選手が、「100点を出すべきだった」と発言したぐらいです。
最近は、さすがに全日本でも、少し点数が高く出る傾向にあるようです。
これから、ロシア選手権、全米選手権、カナダ選手権の結果を何回かに分けてお伝えする予定ですので、
この件を踏まえて点数を見て頂けるとありがたいです。
ロシア選手権2016女子ショートプログラム結果
1位 エフゲニア・メドベデワ 79.44
3F+3T・2A・3Loの構成。ジャンプはすべて完璧。右手を挙げてさらにGOEをアップ。
16歳になったメドベデワ選手。昨シーズンより10cm身長が伸びて、現在159cmとのこと。
10cm身長が伸びても、ジャンプに支障が出ないところが恐ろしく感じます。
それにしても、失敗しないですね。ジャンプ、スピン、ステップすべて完璧です。さらに、
物悲しさが伝わってくるような、表現力にもさらに磨きがかかったように感じます。彼女には、悲劇的なプログラムがピッタリかもしれません。
しかし、体が細い。このままの体型で20歳までいくのでしょうか?
79.44という点数は、世界選手権では、74、5点に相当するかなと思っています。
2位 エレーナ・ラジオノワ 76.69
3Lz+3T・3Lo・2Aの構成。ジャンプはすべて完璧。
スピン、ステップもノーミスの演技で、終了後ガッツポーズを見せました。
ラジオノワ選手は、17歳となりました。身長も伸びたのに、なぜか幼い印象があまり変わりませんね。
体が細いままだからでしょうか。スピードは相変わらず、すごいです!
3位 ユリア・リプニツカヤ 73.77
3Lz・2A・3T+3Tの構成。ジャンプは、完璧。生き生きと演技をしていました。
グランプリシリーズでは、演技がうまくいかず、涙を見せていたリプニツカヤ選手。
久々の完璧な演技を見せ、演技終了後、笑顔を見せ、「やった!」と両手を挙げてから、こみ上げてくる涙を止められなかった姿が印象的でした。
12月中に、コーチをアレクセイ・ウルマノフに変更したことが、成功した理由の一つでしょう。
今シーズンのショートプログラム「エルビス・プレスリーメドレー」は、なんかユリアに合わないチグハグしたプログラムだなぁと
思っていたのですが、新コーチが解決してくれました。
ツインテールと赤白のボーダーの衣装から、アップスタイルと黒のドレスに変更し、グランプリシリーズで見ていたものと同じとは思えないほど、
洗礼されたプログラムになっていました。
ユリアが女性らしい体つきに成長してきているのに、衣装が子供のままだったので、
チグハグな印象を受けていたのです。
キスアンドクライでの、はじけるような笑顔を、久しぶりに見れて、うれしい気持ちになりました。
まだ、体型の変化と闘う日々は、もう少し続くと思いますが、新しいコーチのもとで、気分一新してがんばってね!と応援したくなりました。
4位 アンナ・ポゴリラヤ 71.22
3Lz+3T・3Lo・2Aの構成。ジャンプ、スピンステップほぼ完ぺき。
ザ・優等生という演技でした。しかし、身長が伸びましたね。これだけ伸びて、ジャンプをそんなに崩していないというは、
凄いことです。彼女もまだ17歳でした!驚きの大人っぽさ。
5位 ポリーナ・ツルスカヤ 70.53
3Lz+3T・3F・2Aの構成。ジャンプは完璧。ノーミスの演技でした。
また、すごい選手が出てきました。ジュニアグランプリファイナルの優勝者。
この選手、かなり魅力的な選手です。メドベデワ選手と同じトゥトベリーゼコーチのもとで練習しています。
11月までは、リプニツカヤ選手も指導していた、巻髪の美女です。リプニツカヤ選手、メドベデワ選手、このスルツカヤ選手といい、
三者三様の魅力があり、すばらしい選手ばかり。
このコーチの指導法、かなり気になります。ロシアなので、まったく情報が入ってこないのですが、ロシア語が読めればなぁと思います。
スルツカヤ選手がいいなと思ったのは、プリマの足を持っていることです。
私の考えている、プリマの足とは、股関節から足の指先まで、ピンと伸びたバレリーナの意思を持った足の事です。
スパイラルや、スピンの時に、足の意思を感じます。
プリマの足を持っていると私が認定しているのは、浅田真央選手とアデリーナ・ソトニコワ選手だけです。
メドベデワ選手と、リプニツカヤ選手がおしい!という感じです。
スルツカヤ選手は、今回初めて演技を見たので、まだ認定はできませんが、プリマの足を持っていると感じました。
すばらしい素質だと思います。
シニアデビューしたら目が離せない存在になりそうです。
3T+3T・3F・2Aの構成。3Tはセカンドのランディングが少し乱れ、3Fは転倒。
後半のステップは疲れも見え、休養明けなので体力がまだ戻っていないのかなという印象をうけました。
サンバメドレーという動きの多いプログラムをこなすのには、もう少し体重を落とした方がいいのかなとも思います。
しかし、高さと幅のあるジャンプは健在で迫力があります。
そして、なんといっても、体の使い方がうまい!表現力は圧巻です。スピンのポジションも迫力があり、やはり、もっともっと
見ていたい選手だなぁと感じました。
オリンピック金メダリストになってから、存在感も増して、より魅力的になって帰ってきてくれました。
7位 アリョーナ・レオノワ 66.15
3T+3T・3F・2Aの構成。ジャンプは、うまくいっていたのですが、最後の2Aで転倒してしまいました。
レオノワ選手ならではの、パントマイムを駆使したプログラム「チャップリンメドレー」。
再び見られてうれしい気持ちになりました。25歳という年齢で最年長なのですから、フィギュアスケートとは、厳しいスポーツです。
彼女のコメディっぽい演技を見ていると、楽しい気持ちになってきます。
やはり、明るいプログラムがあっていると思います。
8位 マリア・ソツコワ 66.14
3LZ+3T・2A・3Sの構成。正しくは3F(コメント欄参照)ノーミスの演技でした。
ロシア選手権は、Jスポーツ4で視聴したのですが、彼女のショートの演技だけ放送されなかったので、youtubeでみました。
構成は、目視なので間違っていたらすみません。
初めて演技を見たのですが、なかなか踊れる選手だなぁと思いました。
本当に、ロシアの選手は金太郎アメのように、つぎからつぎへとスゴイ選手が出てきますね。
9位 エリザベータ・トゥクタミシェワ 63.68
3A・3Lz・3T+3Tの構成。なんと現世界女王9位という位置です。
3Aは回り切りましたが転倒。コンビネーションは2T+3Tになってしまいました。
このロシア大会から、昨シーズンのショート「ボレロ」に曲を変更してきました。
グランプリシリーズでは、ショートプログラムで失敗し、フリーで挽回するという状態でしたから、
昨シーズントリプルアクセルを成功させたプログラムで、感覚を思い出そうという作戦なのでしょうか。
しかし、トリプルアクセルを意識するあまり、出だしから、ものすごく慎重に滑っていて、スピードがありませんでした。
トリプルアクセルというのは、やはり、女子にとっては、非常に難しい挑戦なのですね。
それでも、トゥクタミシェワ選手は、ショートで挑戦し続けているので、頼もしいです。
現世界女王でも、失敗すれば、この位置になってしまうという、ロシア選手権の恐ろしさを感じます。
つぎは、フリーを書きたいと思います。
追記:hotai777 様からリザルトのページがあると教えて頂きました!
Rostelecom Russian Nationals 2016