4回転3本以上という男子フリーの世界に少々疲れました。
世界フィギュアスケート選手権男子の結果がでました。
総てのジャンプを美しく決めたうえ、プログラムの完成度も高かったスペインのフェルナンデス選手が優勝しました。
4回転を3度入れた構成で、ジャンプひとつひとつをプログラムの中の一つの要素のように溶け込ましていて、まさに王者のプログラムとして
完成されていました。
だれも文句の言えない、完璧な優勝と言えるでしょう。
近年の男子フィギュアは、羽生結弦選手とハビエル・フェルナンデス選手が、歴代最高得点を引き上げ、
何点更新するかという戦いになっています。
さらにボーヤン・ジン選手の出現で、4回転ジャンプは、フリープログラムに4本も組み込まれる時代になってしまいました。
ジャンプの難易度が上がり、技術点の記録更新が繰り替えされるのは、たしかに見ごたえのある戦いですが、
私は、やはり、フィギュアスケートは、それだけではないと感じてしまいます。
あの選手が4回転3回決めたから、よっしゃオレもやってやるぞ!
というモチベーションもいいのですが、そういう選手ばかりになってしまうと、私にとってのフィギュアスケートの魅力は、
正直半減してしまいます。
なんというか、選手本人の魅力が、プログラムに反映したような演技をみるのが好きです。
一つのプログラムとして、作品としてなりたつプログラムが好きです。
例えばどんなプログラムですかと言われたら、アメリカのジェイソン・ブラウン選手の作り出す世界観やプログラムなどがその代表となります。
今回の世界フィギュア男子では、ミーシャ・ジー選手、アダム・リッポン選手・ミハル・ブレジナ選手などが、好きな演技です。
宇野昌磨選手やパトリック・チャン選手が、なんとか上位に食い込もうとして、難しいジャンプを組み込んで挑戦している姿は、
すばらしく立派ですが、難しいジャンプを組み込みつつ、芸術性を保つというのは、ある意味懸けであり、本来の彼らの芸術的すばらしさを損なってしまうのではないかと、見ていて辛いものがあります。
彼らが必死にジャンプに取り組む姿は、正直、見たくない。
一つのプログラムの完成度を芸術的に高められる選手だからです。
宇野選手も、パトリック選手も、史上最高の芸術作品と呼ばれる可能性のある
プログラムを演じられる選手と信じています。
*そして、史上最高得点を取ることと、史上最高の芸術作品をつくることは、おなじような価値があると信じています。
バンクーバーオリンピックの時の、ジョニー・ウィアーさんのような、点数とか関係ない、芸術性を追求するのだという選手が
そろそろでてきても、おかしくないのではと思っています。
そういう意味でも、今後の動向の気になる、ジェイソン・ブラウン選手には、4回転ジャンプにこだわらずに、
フィギュアスケートを続けてもらいたいです。
高難度の技術力で芸術性を表現することは、フィギュアスケーターの夢ですが、さすがに4回転3回以上というのは、
なかなか厳しい挑戦だと思います。
羽生VSフェルナンデスの戦いは、それほどの高みに行ってしまいました。
見ているこちらがこんなにつかれるのですから、選手たちの疲労たるやいかばかりでしょうか。
どうぞ、ゆっくり休んで、次のシーズンに備えてください。